「AUTUMN LEAVES」(枯葉)の楽曲分析やってみた!(その2)
前回の記事「楽曲分析その1」で、楽曲分析の手順2「7thコードの分析」まで終わりました。
前回の記事はこちらを参照して下さい。
「AUTUMN LEAVES」(枯葉)の楽曲分析やってみた!(その1)
※記事を投稿した後、数カ所書き間違いが見つかったので修正しました。
今回はこの続きで、3「7thコード以外のコードの分析」、4「転調のやり方の確認」をやっていきたいと思います。
やり方としては、「楽曲分析1」で分析した7thコードの分析結果をもとに、そのまわりの7thコード以外のコードをケーデンスやコードパターンに当てはめて分析していきます。
まず、<A>の部分
‖:Am7 |D7 |GΔ7 |CΔ7 |
|F#m7(♭5) |B7 |Em | :‖
最初のAm7→D7→GΔ7は、前回の分析でD7→GΔ7をGメジャーキーのⅤ7→ⅠΔ7(D→T)と推測したのにAm7を追加して、Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠΔ7(SD→D→T)が成り立つ。
次のCΔ7はGメジャーキーのⅣm7でSDになるため、前のGΔ7からT→SDというコード進行パターンでつなげることができる。
さらにCΔ7は次のF#m7(♭5)→B7→EmのキーであるEマイナーキーではⅥ♭Δ7でSDMとなるため、CΔ7→F#m7(b5)→B7→Emまでをつなげて、EマイナーキーのⅥ♭Δ7→Ⅱm7(♭5)→Ⅴ7→Ⅰm(SDM→SDM→D→T)とつなげることができる。
(SDMが2回連続しているが、同じキーの同じ機能のコードは連続して並べることができる)
ということで、ここではCΔ7がピボットコードの機能を果たし、GメジャーキーからEマイナーキーへピボットコードによる転調をしていると解釈。
それから、繰り返し記号で最初に戻るところのEm→Am7は、GメジャーキーのⅥm7→Ⅱm7でT→SDのコードパターンが成り立つ。
ここではEmがピボットコードとなり、EマイナーキーからGメジャーキーへ転調していると解釈。
次、<B>の部分。
‖F#m7(♭5) |B7 |Em | |
|Am7 |D7 |GΔ7 |CΔ7 ‖
最初のF#m7(♭5)→B7→Emは<A>と同様にEマイナーキーのⅡm7(♭5)→Ⅴ7→Ⅰm(SDM→D→T)が成立。
ちなみに、<A>の最後のEmからの連結は、Em→F#m7(♭5)がEマイナーキーのⅠm→Ⅱm7(♭5)となりT→SDMでつながるかと思ったが、以前まとめた音楽理論にT→SDMというケーデンスやコードパターンはないので、ここはつながらず。
両方とも同じEマイナーキーで転調していないが、コードがつながらないので、一応、突然転調という扱いにしておく。
1段目から2段目のEm→Am7はともにGメジャーキーのⅥm7→Ⅱm7でT→SDのコードパターンが成り立つ。
ここではEmがピボットコードとなり、EマイナーキーからGメジャーキーへ転調していると解釈。
2段目のAm7→D7→GΔ7→CΔ7は<A>と同様にGメジャーキーのⅡm7→Ⅴ7→ⅠΔ7→CΔ7(SD→D→T→SD)が成り立ち、さらに次の<C>のF#m7(♭5)へはCΔ7がEマイナーキーのSDMという性質を利用してピボットコードによる転調となる。
次、<C>の部分。
‖F#m7(♭5) |B7 |Em A7 |Dm7 G7 |
|C7 |B7 |Em | ‖
最初のF#m7(♭5)→B7→Emは上と同様にEマイナーキーのⅡm7(♭5)→Ⅴ7→Ⅰm(SDM→D→T)が成立。
さらにEmは次のA7のキーであるDメジャーキーのⅡm(SD)でもあるので、ここではEmがピボットコードとなり、EマイナーキーからDメジャーキーへの転調と解釈。
次のA7→Dm7は「楽曲分析その1」で分析した通り、A7がDメジャーキーでDm7がDマイナーキーとなり同主調への転調と解釈。
さらにDm7は次のG7のDマイナーキーへⅠm7→Ⅳ7となりT→SDというコードパターンが成立する。
そして、次のG7→C7は「楽曲分析その1」で分析した通り、DマイナーキーのⅣ7→Ⅶ♭7(SD→SDM)。
さらにC7は次のB7につながらず、GマイナーキーのⅣ7(SD)(前のDマイナーキーのSDMとのピボットコード)と解釈。
最後のB7→EmはEマイナーキーのⅤ7→Ⅰm(D→T)が成立。
前のC7からは突然転調と解釈。
しかし「楽曲分析その1」で書いた通り、このC7の部分は違うコードで書かれることもあり、さらに上記の解釈ではどうもしっくりこない。
しっくりこないというのは、Dm7→G7の部分をDマイナーキーで解釈するより、Cメジャーキーで解釈した方が自然な感じになるような気がするからだ。
それは主キーのEマイナーキーから見てもDマイナーキーよりCメジャーキーの方がより近い近親調なので、「聞いている人は曲(コード進行)をより主キーに近いキーで解釈しようとする」という観点からしてもやはりCメジャーキーで解釈してアドリブをする方が違和感なく聞こえる気がする。
ただ、以前にまとめた「楽曲分析手順」は次のコードとのつながり(ケーデンスやコードパターンの成立)も重要な分析要因としているため(通っていたレッスンでもそれが重要だと教わった)、そちらの観点から見ると、一応広い近親調でケーデンスが成立しているDマイナーキーの解釈も全くダメなわけでもない。
ということで、以前にまとめた音楽理論から外れてしまうが、第2の解釈として「Dm7→G7→C7→B7→Em」の部分を次のように解釈してみたいと思います。
Dm7→G7→C7がCメジャーキーのⅡm7→Ⅴ7→Ⅰ7(本来ⅠΔ7に連結するところを偽終止)
C7→B7については、C7を裏コードのF#7に置換してF#7→B7とし、BマイナーキーのⅤ7→Ⅰ7(本来Ⅰm7に連結するところを偽終止)と解釈。
B7→EmがEマイナーキーのⅤ7→Ⅰm
まとめると、C7(F#7)とB7がそれぞれピボットコードとなり、CメジャーキーからBマイナーキーさらにEマイナーキーへの転調と解釈。
もうひとつついでに、私がレッスンで習った「Dm7→G7→CΔ7→B7→Em」の場合についても第3のパターンとして取り上げてみたい。
Dm7→G7→CΔ7はCメジャーキーのⅡm7→Ⅴ7→ⅠΔ7が成立。
さらにCΔ7は次のEマイナーキーのⅥ♭Δ7(SDM)でもあるので、これがピボットコードとなり、CΔ7→B7→EmがEマイナーキーのⅥ♭Δ7→Ⅴ7→Ⅰm(SDM→D→T)が成立。
ということで、このコード進行の場合はCΔ7がピボットコードとなり、CメジャーキーからEマイナーキーへの転調と解釈。
最後の部分については3パターンの解釈候補を立ててみましたが、実際のところどれが良いのかわかりません。
とりあえず、今回はここで区切って、次回これらの解釈をもとに実際にアドリブフレーズを作ってみたいと思います。
そしてそれぞれの解釈に従ったフレーズを聞き比べてみたいと思います。
<追記>
C7の部分をCΔ7に変えて分析した3つ目のパターンについて
このようなコードの置換は以前にまとめた理論にはない。
音楽理論(楽曲分析編その2)でまとめた通り、同じキーの同じ機能の代理コードに置き換えることや、いわゆる裏コードに置換するのはOKで、単音楽器であれば伴奏者が元のコードを演奏しているところに勝手に置換したコードに従った解釈によるフレーズを演奏しても問題ない。
しかし、C7をCΔ7に変換する行為はこれらの置換には当てはまらないので、もしかしたら伴奏者がC7を弾いているところにCΔ7で解釈したフレーズを演奏してしまうと違和感があるかもしれない。
(このようなコードの変更は、事前に演奏者同士で打ち合わせをして全員で合わせてCΔ7を弾かなければならないのかも)
そのへんも実際にフレーズを演奏してみて確認してみたいと思います。